型友禅と加賀友禅 着物の価値の見分け方
どの友禅がどういう種類でどれくらいの価値があるかというのは、なかなか一目では分かりにくいかと思います。
一口に友禅と言っても様々な技法が使われ、その技法によって種類も多様なので余計に分かりづらいのです。
友禅の価値を見分ける第一歩は、友禅の二大技法である「型友禅」「手描き友禅」を知ることから始まります。
「型友禅」は柿渋紙で作った型紙と色糊を用いて染める技法で、明治初期に開発された比較的新しい友禅です。
型紙は繰り返し使用できるため、同じ柄で大量生産するのに向いた染色方法とされています。
しかし型紙1枚につき一色を職人の手で染めており、着物によっては100枚以上の型紙を使用することもあるので、型友禅が全て簡単で安価というわけではないのです。
もう一方の「手描き友禅」の最大の特徴は「糸目」にあります。
「糸目」というのが友禅の柄の白い輪郭線のことで、糸目糊と呼ばれる防染糊を円錐型の筒に入れ、糊を細い線で出しながら絵柄を描いていきます。
手書き友禅において、この糸目を引く作業が着物の質を決める重要な工程とされています。
糸目を均一な細さで美しく描くためには、非常に高い技術を必要とするために型友禅よりも高い価値がつくのです。
型友禅か手描き友禅かを判断するポイント
「型友禅」「手描き友禅」どちらも手仕事により作られており、上質なものほどどの技法で制作されたか判断しづらいです。
しかし素人目でもよく見ればわかる違いがいくつかあるようです。
というわけで手描きの加賀友禅と型友禅を例に、友禅の重要ポイントである糸目に注目して見比べてみました。
さてどちらが手描きの加賀友禅かわかるでしょうか?
どちらも均一な白い輪郭線で描かれています。
でもよく見てみると、右の方は線にややかすれたような部分があり、わずかながらメリハリが感じられます。
一方左の方の線は全くの均一。
植物の描かれ方もバリエーションに欠ける印象を受けます。
輪郭線(糸目)、植物の染めのぼかし具合、加賀友禅の特徴である虫喰いなどをよく見ると、その違いが見極めやすいかと思います。
ここまで見ればなんとなくわかるでしょうか。
正解は、右が手描きの加賀友禅、左が型友禅となります。
着物が作られたか工程を知れば、わずかでも違いがわかりますね。
それでもやっぱり素人には友禅を見分けるのは難しいものです。
なのでもし着物を買うときはお店の人に聞いてみることが大事です。
良心的な店員さんならきちんと説明してくれるはずです。
ぜひ「本物」を選びたいですね。
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